免疫療法

【参考資料】自己リンパ球療法と他者リンパ球療法

免疫療法についての参考テキストです。

免疫細胞療法

 この療法は、輸注する免疫細胞と患者との関係によって大きく二つに分けられる。
1. 自己免疫細胞(リンパ球)輸注療法
2. 他者免疫細胞(リンパ球)輸注療法


自己免疫細胞輸注療法①
患者本人の免疫細胞を採取して、in vitroで活性化し再び患者に輸注する。

自己免疫細胞の細胞性免疫レベルを上げ、制ガン能を高めることによりガン細胞を攻撃する方法。


自己免疫細胞輸注療法②
【主な治療法】
■LAK療法(Lymphokine Activated Killer cell)
リンパ球をサイトカイン(IL-2)で増殖・活性化する。非特異的
■CAT療法(CD3 Activated T cells)
抗CD3抗体を加え、よりガンに対する感受性・攻撃性を得たTリンパ球を利用。非特異的
■CTL療法(Cytotoxic T Lmphocytes)
あらかじめガンの抗原情報を得たTリンパ球を利用する。利用するガン抗原により二つに大別できる。(自己 ガン抗原:T-CTLと人工ガン抗原:P-CTL)特異的


自己免疫細胞輸注療法③
■TIL療法(Tumor Infiltrating Lymphocytes)
腫瘍組織浸潤リンパ球療法といい、腫瘍内のリンパ球を増殖し利用する。特異的
■DC療法(Dendritic Cell,樹状細胞)
ガン抗原を得た樹状細胞を輸注し体内でのTリンパ球の活性化を図る。DCワクチン。
自己ガン抗原提示によるTP-DCと人工抗原提示によるPP-DCの二つがある。特異的
etc  


他者免疫細胞輸注療法①
他者(健常人)の免疫細胞を採取し、患者に輸注する。

正常な機能を持つ免疫細胞を輸注することによって、ガンを攻撃する方法。
(患者本人の免疫細胞能は低下している...。)


他者免疫細胞輸注療法②
【背景にあるのは】
末梢血幹細胞移植(PBSCT)である。
Peripheral Blood Stem Cell Transplantation
白血病治療に用いられるPBSCTが固型ガンにも有効(GVT)であることが明らかになり、研究が進められた。

GVT:移植片対腫瘍効果(Graft Versus Tumor)
GVL:移植片対白血病効果(Graft Versus Leukemia)


他者免疫細胞輸注療法③
【問題点(副作用)】
HLA(ヒト白血球抗原:Human Leukocyte Antigen、組織適合抗原)不適合などによってGVHDが起こることがある。

GVHD: 移植片対宿主病(Graft Versus Host Disease)
移植したドナーリンパ球が組織適合性の不一致を認識し、レピシエントの細胞を障害する。


他者免疫細胞輸注療法④
自家末梢血幹細胞移植や自己免疫細胞療法ではGVHDは起こらない利点はあるが、同時にGVL(GVT)も期待できない。

自己免疫細胞療法と他者免疫細胞療法の大きな違いはここにある!


他者免疫細胞輸注療法⑤
実際にallo-PBSCTを行った白血病患者においてGVHDを起こした患者の方が再発例が少ないという報告もある。

GVHDを起こさない、GVHR(移植片対宿主反応:Graft Versus Host Reaction)状態の方が効果を期待できる。


他者免疫細胞輸注療法⑥
現在、他者免疫細胞と反応して放出されるサイトカインがあることもわかってきた。
このことがアレルギーにも効果があることにつながっている。